相続税の相談におすすめなのは税理士。相談できることやメリット

2024.10.04
相続税の相談におすすめなのは税理士。相談できることやメリット

ご家族が亡くなったとき、相続税の手続きをしなくてはなりませんが、初めてのことでどうすれば良いかわからない人がほとんどです。

相続税の手続きはとても面倒で、初めての人が行うのは大変なものです。しかも、相続税には申告の期限がありますので、期限内に手続きを済ませないとペナルティを受けることになってしまいます。

しかし、相続税に関する相談は、状況によって相談すべき相手が違ってきます。手続き的なことなら税務署でも良いのですが、節税対策となると税理士に聞かなくてはわからないでしょう。

そこで今回は、どんなときにどこに相談するのがおすすめなのか、相続税の相談ができる専門家について解説します。

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相続税の相談は状況によって相手が違う!おすすめの相談先

一般的な手続きの話であれば、税務署でも対応してくれます。しかし相続税に関して個別の相談をしたいのであれば、やはり相続税の専門家に頼るのが一番です。

専門家によって、それぞれ相談できる内容が違います。

専門家 相談できること
税務署
  • 土地の評価方法
  • 申告の手続き
  • 書類の書き方
税理士
  • 相続税の金額
  • 相続税の申告
  • 節税対策
  • 相続税の特例
  • 生前贈与
弁護士
  • 遺産分割協議
  • 遺留分
  • 遺言
  • 後見人
  • 相続放棄
司法書士 相続登記
  • 相続税の金額を算定したり、申告の手続きをお願いするなら税理士
  • 親族で話がまとまらずももめているなら弁護士
  • 話がまとまり登記の移転手続きをするなら司法書士

というように選びます。

相続税の手続き、申告書の記載方法などを知りたいなら税務署

税務署では、具体的に相続税がいくらになるのかなど、個別の相談には対応していません。

あくまでも一般的な内容にとどまり、相続税の基本について教えてくれるところだと思った方が良いでしょう。

  • 相続した土地の評価方法
  • 土地評価額の確認
  • 申告書の記載方法

などについて教えてもらえます。

問い合わせる先は、亡くなった方の居住地を管轄する税務署です。所在地は、国税庁のホームページから検索できます。住所地の郵便番号を入れると、その地域を管轄する税務署を案内してくれます。

国税庁ホームページの検索機能ページスクリーンショット画像

相談は無料で、電話、対面両方可能ですが、対面の場合は予約をしてからいくことをおすすめします。

対応してくれるのは税務署の職員ですから、複雑なケースになると答えられないこともあります。

遺産分割でトラブルになっているなら弁護士に相談

遺言書があればその通りに遺産分割されますが、遺言書がない場合はもめごとが起こりやすいです。

感情的になってしまうと、まとまるものもまとまりません。そのような場合は、第三者の立場から冷静に正しい指摘をしてくれる専門家の意見が重要になるでしょう。

また、遺産分割協議をするときには、相続人の調査も必要になります。戸籍謄本を集めるのも時間がかかりますが、財産の調査とともに相続人の調査もお願いできるので、相続人が多い場合は最初から弁護士に依頼した方が良いかもしれません。

(弁護士の職務)
第三条 弁護士は、当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱によつて、訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件に関する行為その他一般の法律事務を行うことを職務とする。
2 弁護士は、当然、弁理士及び税理士の事務を行うことができる。
引用元:弁護士法 | e-Gov法令検索

行政書士や司法書士に遺産相続に関する手続きをお願いすることも可能ですが、万が一交渉がまとまらず遺産分割調停になったとき、手続きを依頼できるのは弁護士だけです。

遺産分割がまとまらなそうなときは、税理士よりも先に弁護士に相談した方が良いでしょう。

遺産分割が確定して不動産の登記を変更する時には司法書士

亡くなった方から相続人へ、土地や家の名義を変更するには、相続登記の手続きが必要です。

相続登記は自分で行うことも可能ですが、書類を集める手間もかかりますので、登記の専門家である司法書士にお任せするのが一般的です。

(業務)
第三条 司法書士は、この法律の定めるところにより、他人の依頼を受けて、次に掲げる事務を行うことを業とする。
一 登記又は供託に関する手続について代理すること。
引用元:司法書士法 | e-Gov法令検索

司法書士の報酬の相場は5万円〜10万円といわれていますが、いろいろな手間を考えると、費用をかけても専門家にお願いした方が良いでしょう。

相続税で税理士選びが必要になるとき

では、税理士に依頼した方が良い時とはどのようなときか、具体的な例をいくつかあげて説明します。

相続税が発生する時

相続税が発生するかどうかは、ざっと計算してみるとわかります。

  • 税遺産総額=相続税の対象となる課税財産-基礎控除
  • 基礎控除=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

たとえば、父親が亡くなり、相続人が母親と子供2人の場合、以下が基礎控除になります。

  • 3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円

つまり、課税の対象となる財産が4,800万円を超えなければ、相続税はかかりません。

預貯金や土地、建物など課税対象となる財産を洗い出し、ざっと計算してみましょう。

その上で、相続税がかかりそうだと思ったら、税理士へ相談することをおすすめします。税理士おすすめの記事はこちら)

ちなみに、令和3年分の数字を見ますと、亡くなった人がおよそ143万人、そのうち相続税の申告書が提出されたのが13万人分ですので、1割弱の人が該当するということがわかります。

国税庁発表の相続税申告事績の概要の一部スクリーンショット画像

遺産の分割について親族で話し合いがまとまっているとき

遺産を相続する人が複数人いる場合、被相続人(亡くなった方)との関係性によって法定相続分が違ってきます。

たとえば、配偶者と子供1人ずつであれば、

  • 配偶者:1/2
  • 子供:1/2

となります。

子供は全体で1/2なので、人数が増えればこの1/2をさらに人数で割ることになります。

また、被相続人の親やきょうだいも相続ができる場合がありますが、それぞれ割合が違います。

このような割合をもとに、親族の間で遺産をどう分割するのか話し合いがまとまれば、あとは税理士に手続きを依頼するだけです。

しかし、揉めている場合には、税理士ではなく弁護士が必要です。税理士と弁護士、相談に乗れる内容が違うからです。

特例制度を適用するとき

相続税を減らすために、主にこのような特例が利用されています。

【小規模宅地等の特例】
土地の評価額を最大80%減額できる制度のこと。土地の利用区分と面積によって用件が違う。
【配偶者の税額軽減(配偶者控除)】
配偶者は1億6,000万円まで(もしくは法定相続分まで)は相続税がかからない特例制度。

これらの特例措置を適用した結果、相続税がかからなくなったとしても、相続税の申告は必要です。

自分で手続きをすることももちろんできますが、その他の手続きも含めて税理士にサポートしてもらった方が良いでしょう。

現金以外の評価が難しいい財産があるとき

預貯金であれば金額を特定することは難しくありませんが、土地や株券などその価値の判定が難しい財産もあります。

ここで判定を間違うと、申告する税の金額にも誤りが生じ、税務調査の対象となってしまう可能性があります。

このような場合は税理士に依頼して内容を確認してもらう方が、正しい申告ができるでしょう。

相続税の申告を税理士に依頼するメリット

税理士に依頼をすれば依頼料がかかりますが、それを考えても依頼するメリットは大きいです。

期限内にスムーズに申告できる

相続税は、被相続人が亡くなった日、または亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に申告しなければなりません。

10ヶ月というのは長いようであっという間に過ぎてしまいます。

もし申告期限を過ぎてしまうと、特例を受けられなくなったり、延滞税がかかったりとペナルティを受けることがあります。

大切な人を失った悲しみの中で、淡々と手続きを進めていくのはとても大変なことですから、このような時ほど税理士を頼ってほしいと思います。

追徴課税されないよう、正しい申告ができる

相続税の申告は、初めての人には難しいものです。故意ではなくとも誤った申告をしてしまうと、税務調査の対象になることがあります。

税務調査とは、税の申告が正しくされているかどうかを税務署が調査するものです。

令和3年度に行われた相続税の調査では、6,317件の実地検査中、申告漏れを指摘されたのは87.6%にあたる5,532件でした。つまり、調査を受けた人のうち、9割近くが手続きの誤りを指摘されているということです。

1件あたりの追徴課税額は886万円にものぼります。

コロナ禍の影響により実地調査件数が少なくなっているとはいえ、これだけの誤りが指摘されているということは、決して他人事だと捉えないで欲しいのです。

相続税は金額が大きいため、誤りがあると追徴課税額も大きくなります。税務調査が入ってから後悔しないよう、正しい申告をするために税理士に依頼されることをおすすめします。

難しい節税対策もお願いできる

相続税を払うとなると非常に高額になるので、少しでも安くしたいと思うものです。しかし正しい節税対策をするためには、専門的な知識が必要ですから、初めての人には難しいです。

最近ではインターネット上にも相続税対策の情報がありますが、それが必ずしもあなたのケースに当てはまるとは限りません。

さまざまな要件を確認し、慎重に手続きを進める必要があります。正しい方法で節税しなければ、税務調査で追徴課税されることになるからです。

税理士に依頼すれば、法にのっとり、正しい節税ができます。

費用を払うとしても、節税できて、なおかつ追徴課税もない正しい申告ができれば、トータルで得をすることになります。

二次相続まで考えてもらえる

たとえば両親と子供二人の家庭で、父親が亡くなった時に最初の相続が発生します。そうしますと、母親と子供で財産を引き継ぐことになりますが、これを一次相続といいます。

相続人となった母親が亡くなると、今度は子供がその財産を引き継ぎます。これが二次相続です。

二次相続では配偶者の減税制度が使えないこと、また、相続人の人数も変わりますので、一次相続よりも相続税が増えるケースが多いのです。

また、配偶者がいなくなることで、子供同士が揉めるケースも増えます。

ですから、一次相続の際に、二次相続まで見据えた対策が必要となるのです。

生前贈与など、二次相続の際の負担をできるだけ少なくする方法を提示してもらえるのも、税理士に依頼する大きなメリットです。

失敗しない、相続税に強い税理士の選び方

では、誰に相続税の手続きを依頼すれば良いのでしょうか?あなたにとって最適な税理士を選ぶポイントについて解説します。

相続税の申告実績が豊富か

初めて依頼するなら、実績が豊富な税理士に依頼したいものです。では、どのくらいの実績があれば豊富だといえるのでしょうか。

令和3年の相続税申告件数は134,275件でした。日本税理士会連合会のデータによると、令和5年2月末現在で80,634人の税理士が登録しています。

単純計算で、1人の税理士が担当する相続税の申告は年間1.6〜1.7件ということになります。

年間に担当する相続税の相談が、税理士事務所に在籍する税理士の人数×1.7よりも少ないのであれば、それは経験豊富とはいえないでしょう。

ホームページを見て年間の相談件数が書かれていなければ、参考までに聞いてみてください。

税理士報酬が明確か

相続税の手続きも始めて、税理士への依頼も初めての人は、どのくらい費用がかかるのかがとても心配だと思います。

ホームページに料金が明記されているか、問い合わせをしたときに料金体系についてきちんと説明してくれる税理士事務所を選びましょう。

ちなみに費用の相場は、遺産総額の0.5%〜1.0%です。手続きの内容によって幅がありますので、料金の詳細を必ず確認し、納得してから依頼するようにしてください。

税理士事務所によって、算定される相続税に違いがある場合もあります。

ですから、いくつか見積もりをお願いしてみて、節税できる金額と税理士の報酬を総合的に判断して依頼先を決めることをおすすめします。

司法書士との連携が取れているか

土地や家などの財産は、相続税を納めた後に名義を変更しなくてはなりません。登記の変更手続きは自分でも行えますが、初めての人には難しく、司法書士に依頼するのが一般的です。

登記に関する手続きは税理士ではできないため、相続税の申告をした後に、司法書士を探さなくてはなりません。

それでは手間も時間もかかりますし、相続に関する説明を一からしなくてはならなくなります。

そのような手間を防ぐために、税理士事務所と司法書士の間で連携が取れているのが理想です。

わからないことにも丁寧に回答してくれるか

相続税のことなど、わからないことだらけだと思います。税理士から説明を受けても、言葉のひとつひとつに戸惑ってしまうかもしれません。

わからないことは納得がいくまで聞いた方が良いので、遠慮なく聞いてください。そして、どのような小さな質問でも丁寧に、わかりやすく説明できるのが良い税理士です。

相性などもありますので、実際に会って話す、もしくは電話で話すなどして判断してほしいポイントです。

大事な相続の手続きを任せるのですから、納得のいくまで話をしてみてください。

相続税の相談には税理士法人Besoがおすすめ

税理士法人Besoサイトトップのスクリーンショット画像

税理士法人Besoでは、税務相談や経営支援とならび、相続税の相談にも力を入れています。

相続税の手続きなど、自分でしたことのない方がほとんどです。相続税の申告には期限がありますから、ご家族を亡くされた悲しみの中でも、淡々と手続きを進めていかなくてはなりません。

税理士法人Besoでは、初めての相続税対策にお困りの方をしっかりとサポートしています。

相続税がどのくらいになるのか、申告はどのようにすれば良いのかなど、難しい法律の話もわかりやすく説明してくれます。

また、相続登記が必要な場合には司法書士の紹介もしていますので、あちこちたらい回しにされる心配もありません。

費用についても納得したかたちで話を進めてくれるようなので、ぜひ一度、税理士法人Besoにご相談ください。

税理士に相続税の相談をするときのよくある質問

相続税に関する問題は多岐にわたり、専門的な知識が必要とされる場面も多いです。

税理士に相続税の相談を検討している方々の疑問やよくある質問を、Q&Aで解説していきます。

税理士に相談するメリットは?

税理士に相談するメリットは専門的な知識と経験の提供にあります。相続税法は複雑で、素人には理解しにくい部分が多いです。

税理士は、以下の点でサポートが期待できます。

  • 相続税の計算と節税対策
  • 適切な申告書類の作成と提出
  • 法令遵守に基づいた適切な手続きの実施

専門家のサポートにより、スムーズで確実な相続税の手続きが可能になります。

費用はどれくらいかかるの?

税理士による相続税の相談費用は、相続財産の規模や内容、依頼する業務の範囲などによって異なります。

多くの税理士は初回相談無料を提供していることが一般的で、その後の業務内容や費用については明確に説明されるはずです。見積もりをしっかりと確認してから契約することが重要です。

税理士無料相談の記事も是非参考になさってください。

どうやって良い税理士を選ぶべき?

良い税理士の選び方は以下のポイントに注意して選ぶとよいでしょう。

  • 専門的な資格と実績
  • 相続税に特化した経験
  • 信頼できる口コミや紹介
  • 費用とサービス内容の透明性

信頼できる人物かどうかの判断には、直接対面しての相談も効果的です。

相続税の申告期限はどのくらい?

相続税の申告期限は、相続の発生した日から10ヶ月以内です。この期限を過ぎると、遅延税が発生する可能性があります。

税理士は、期限内の適切な申告をサポートし、遅延税の発生を防ぐ手助けをしてくれます。期限内の申告を確実に行うためにも、早めに税理士への相談を開始することが重要です。

相続税の相談先は内容によっていろいろ!節税対策を知りたいなら税理士へ

相続税の相談は、その相談内容によっておすすめの相談先が違ってきます。

申告の方法や書類の書き方など一般的な内容であれば、税務署でも対応できます。

親族間でもめているなら弁護士に相談するのが良いですが、相続税の算定から行いたい、話はある程度まとまっているから適切な節税対策を知りたいという場合は税理士に相談するのがおすすめです。

自分で手続きすることも可能ですが、相続税は税務調査によって追徴課税されるケースが多いことから、手続きに慣れていない人が正しく申告するのは難しいものなのです。

上手に節税し、正しい申告をするためにも、ぜひ税理士にご相談ください。